星の形をしたルコウソウ
40代、50代の頃は、古今東西の名画に刺激を受けようと、
よく美術館に足を運んでいたものでした。当時はまだまだ
絵に対する情熱や向上心が大きかったのでしょうね(^o^;)
お気に入りの名画はいくつもありますが、今日はゴッホの絵を‥。
特に印象に残りました。ガス燈に照らし出されたカフェの様子を
描いたものですが、まず、その黄金色のまばゆさに目が留まり
ました。なぜここまで黄色を強調しているのだろうと。
集英社版「現代世界美術全集8」の解説書を読むと、この絵を
制作した頃、ゴッホは精神を病み、フランスのアルル地方の
病院で療養生活をしていました。白熱の太陽とひまわりを描く
ことに熱中していたゴッホですが、やがて心の中のより暗い部分に
目が向くようになっていったようです。美しい夜空と異常なまでの
ガス燈の黄色の対比は、ゴッホの心の中の葛藤を表現したものの
ようです。解説を読み、この絵を初めて目にした時の、なぜか
ザワっと心の軸が揺れた理由が理解できた気がします。
最も有名なのは、大きな糸杉のある「星月夜」という作品ですが、
絵があります。個人的に、私はこれが一番好きです。
「星月夜」とは月のない夜に満天の星が輝いている様子のこと。
読み方は「ほしづきよ」とも「ほしづくよ」とも。星明かりだけの夜。
「しじま」を連想させるロマンチックな言葉ですね。
ローヌ川の上に輝く星をよく見ると、柄杓星。つまり北斗七星です。
天地万物を創造された神さまの、手のわざの表れである宇宙空間に
整然と配置する星座たち。一箇所たりとも同じ色はない夜空の、
滑らかな瑠璃色と、ローヌ川に伸びるオレンジ色のガス燈の陰。
じっと目を凝らすと、自分が広大無辺な宇宙の一隅に吸い込まれる
ような、そんな錯覚に陥ります。
星月夜は秋の季語。立秋の頃に見られる夜空だそうです。なかなか
星を見る機会がありませんが、今時のうっとうしいニュースを横に置き、
ロマンを求めて夜空を仰いでみるのも有りかもしれませんね。