シャロンの薔薇

聖書から学んだこと・日々の出来事・ハンドメイド

映画 『バベットの晩餐会』を見て

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友人が素敵な映画を紹介してくれました。

バベットの晩餐会』という約30年前の作品です。早速、お借り

したDVDを視聴しましたが、今まで見た映画にはなかった不思議な

余韻が、今も心にこだましています。

 

 ■あらすじ■

舞台は19世紀後半のデンマークユトランド半島西岸の寒村。

牧師である父と二人の姉妹が、つつましく暮らしていました。

美しい姉妹にはそれぞれ求愛する男性がいましたが、娘たちは

父に仕え、神に仕える道を選び、申し出を断ります。父の死後、

訳あってフランスから亡命してきた女性、バベットが家政婦として

やって来ます。牧師不在の村人の信仰が、少しずつ揺らぎ始めて

いることに心を痛めた姉妹は、父の生誕100年を記念する晩餐会を

催し、村人をもてなすことを思いつきます。

 

一方、バベットは宝くじで1万フランの賞金を得ますが、それを

晩餐会の料理のために使うことを提案。躊躇する姉妹を説得して

食材をフランスから集め始めます。困惑した姉妹は村人に、「何を

食べさせられるか分からないのです」と言い、村人は「料理の話は

一切しない、絶対に味わわない」と示し合わせるのですが‥。

いよいよ晩餐会が始まります。料理を食べ進めるにつれ、村人の

表情は次第に和らいでいき、それぞれの心にあるわだかまり

溶け、信仰心を回復して満ち足りた気持ちで晩餐会を後にします。

 バベットは、実はフランスで超一流のレストランの料理長でした。

篤い信仰心を尊ぶ姉妹と、バベットの自分の仕事に対する誇り、

奉仕への喜びが共鳴しあって織りなされる、格調高い物語です。

 

映画をあまり見ない私は、うまく感想を述べられないのですが、

見終えた後に残る心地良さは、格別なものがあります。

全編を通して流れる賛美歌に癒やされ、本格的なフランス料理にも

魅了されます。ウミガメのスープ、姿を残したままパイ生地で

焼いたウズラ料理、超高級ワイン‥。食材に対する宗教上の

タブーなのか、禁欲のためなのかは分かりませんが、ご馳走を

前にして、「料理の話は絶対にしないぞ」と、必死にこらえる

村人のユーモラスな表情には、クスッと笑ってしまいます。

質素だけれど、姉妹の部屋のレイアウトも、身につけている

ストールの手編み模様も美しいし、清貧ということばがよく

似合っている暮らしぶりも素敵です。DVDのパッケージも、モネの

「日傘をさす女」のような、絵画的な雰囲気にも心惹かれます。

心を穏やかにしたい時、また見てみたいと思わせてくれるような、

良い映画作品を紹介してくださった友人に感謝しています。