気仙沼市・岩井崎の潮吹岩
元日から悲しみの絶えないニュースが続き、胸が痛みます。
昨日もネットで悲しい記事を読みました。肺を患い寝たきりの父親を置いて
100メートル先に迫りくる津波を背に、必死に逃げた息子さんの話でした。
父親にかけた最後の言葉が「じいちゃん、置いてくぞ」だったとは…。
どんなに後髪引かれ、胸が張り裂けそうな思いだったのでしょうか。
“津波てんでんこ”と言って、津波の時には「てんでんに」、つまり「各自」
「めいめい」「てんでんばらばら」に逃げることという、命を守ることへの
過去の教訓を生かした合言葉のようなものです。
3.11の東日本大震災の時、この防災意識が功を奏し、岩手県釜石市の
小中学生が教えを実践し、多くの命が助かったという事例が話題になり、
「釜石の奇跡」と言われたのを覚えています。
でも、こうした事例は美談で終わらせてはならない、もっと深く、もっと
重い認識が一人ひとりに必要だと思うのです。一瞬の判断が人の生死を分ける
のです。“津波てんでんこ”は正しい、という相互理解がどうしても必要です。
後で自責の念や罪悪感に陥らないように、また誰かを責めたり非難しないように、
そういう暗黙の了解の上に成り立っている教えだからです。
以前、“津波てんでんこ”というブログ記事を書いていました。併せて
お読みいただけたら嬉しいです。
迫りくる津波を目にし、このままでは家族全員が死ぬと、とっさに判断
できた息子さんの行動は、私たちも心に留めておくべきだと思います。
逃げるという行動が、戸惑い、迷う人を促すことにもつながるはず。一人でも
助かる可能性があるのなら、“津波てんでんこ”の教訓はぜひとも生かして
いかなければ…。そう強く思います。