シャロンの薔薇

聖書から学んだこと・日々の出来事・ハンドメイド

「津波てんでんこ」

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 NHKの朝ドラ「おかえりモネ」の最終回は、時を超え、来年の

夏頃の設定でエンディングを迎えました。未来に着地するとは、

あまり記憶にない終わり方ですね。

 そして、「コロナ」というワードは出てきませんでしたが、

語らずとも分かる試練の歳月を、TVを見る側の私たちも、一緒に

共有してきたかのような、リアル感たっぶりのシーンでした。

 あえて共感しづらいテーマに焦点を当て、視聴者の心に問い

かける、質の高い、余韻の残るドラマでした。そして希望が見える

秀逸な最終回に拍手です(*^^)v

 ちなみに最終回、砂浜で遊ぶ子供たちの一人は、親戚筋の

女の子でした。一生の素敵な思い出になったことでしょう(*^^*)

 

 ドラマの中では用いられませんでしたが、三陸地方、特に岩手県

辺りに伝わる言葉で、「津波てんでんこ」というのがあります。

リアス式海岸の風光明媚な三陸地方ですが、地形柄、津波による

被害も多く、「津波が来たら、命てんでんこ」という、体験者の知恵、

教訓が人々の心に根付いていったのでしょう。

 

 「てんでんこ」とは、「てんでん」=「各自」、「めいめい」

という言葉に東北の方言「こ」がついた言葉です。東北人はよく、

名詞に「こ」をつけます。たとえば、こんなふうに‥。

   「“ あめこ ” あるから、 “ おちゃこ ” のむべ!」

              ↓

 「飴があるから、お茶を飲みましょう」

 Wikipediaによると「津波てんでんこ」は、「津波が来たら、取る

物も取り敢えず、肉親にも構わずに、各自てんでんばらばらに、一人

高台へ逃げろ」「自分の命は自分で守れ」という意味になるそうです。

そして、「自分は助かり、誰かを助けられなかったとしても、それを

非難しない」という不文律であるとも。

 

ドラマの中で、みーちゃんが、おばあちゃんを置いて逃げたという

自分への責めも、切ない「津波てんでんこ」にまつわるものでした。

 

私も10歳の時に起きたチリ地震津波の時は山に逃げました。

東日本大震災の時、姉も着の身、着のままで高台へ走りました。

地震津波=山へ逃げる」。これは気仙沼人の常識です。

気仙沼に限らず、海沿いに住む人の心と体に刷り込まれた、強い

防災意識と言えるのではないでしょうか。

 

みーちゃんのように、大切な人を置いて逃げるという瞬時の判断は、

その人を後々まで苦しめるかもしれません。でも、共倒れして

被害が拡大するのを防ぐためにも、日頃から「津波てんでんこ」の

約束事を共有しておくべきだと、強く思わされました。