中原淳一というと、黒瞳がちの洋風な美少女の絵が思い浮かぶのでは
ないでしょうか。小学校低学年の頃、少女雑誌にとじ込み付録でついて
きた絵を丁寧に切り取って集め、一生懸命に真似をして描いていました。
同世代の女性なら、同じような経験が一度や二度、あると思います。
先日、簡単にできる洋裁の本を探しにブックオフに行った時、
目に留まり、懐かしさに惹かれて買い求めました。
人物やファッション画だけでなく、優れた詩人でありエッセイストでも
ある中原淳一らしく、一冊に収められた絵と文章の美しさに、すっかり
引き込まれてしまいました。ブックオフは安価でありがたいのだけれど、
さすがにこの本が108円はちょっと違うんじゃないかな~と(;´д`)
本当の美しさの追求のためには、手元に置いておきたい一冊かと
思います。裏表紙に次の詩が書いてありました。素敵な詩です。
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もしこの世の中に、風にゆれる『花』がなかったら、
人の心はもっともっと、荒んでいたかもしれない。
もしこの世の中に『色』がなかったら、
人々の人生観まで変わっていたかもしれない。
もしこの世の中に『信じる』ことがなかったら、
一日として安心してはいられない。
もしこの世の中に『思いやり』がなかったら、
淋しくて、とても生きてはいられない。
もしこの世の中に『小鳥』が歌わなかったら、
人は微笑むことを知らなかったかもしれない。
もしこの世の中に『音楽』がなかったら、
このけわしい現実から逃れられる時間がなかっただろう。
もしこの世の中に『詩』がなかったら、
人は美しい言葉も知らないままで死んでゆく。
もしこの世の中に『愛する心』がなかったら、
人間はだれもが孤独です。
(中原 淳一)