シャロンの薔薇

聖書から学んだこと・日々の出来事・ハンドメイド

言葉の一番ダシ

 

 30年続いた自分史サークル。メンバーの高齢化という

やむを得ない事情により、今年の5月に閉会となりました。

「砂の上の足跡は消える。だから石の墓標より、紙の墓標を」

このモットーの下、研鑽を積んだ期間は何にも優る財産です。

文章を書くということは、生きていることの証し。だから

これからも、文章を書く時には盛らず、気取らず、偽らず…、

素の自分が透けて見える、オリジナルな文章を綴っていく

ことができたら素敵だなと思っています。

 

長田弘さんの書いた、こんな詩があります。

 

「言葉のダシのとりかた」     長田 弘

 かつおぶしじゃない。
 まず言葉をえらぶ。
 太くてよく乾いた言葉をえらぶ。
 初めに言葉の表面の
 カビをたわしでサッパリと落とす。
 血合いの黒い部分から、
 言葉を正しく削ってゆく。
 言葉が透きとおってくるまで削る。
 つぎに意味をえらぶ。
 鍋に水を入れて強火にかけて、
 意味をゆっくりと沈める。
 意味を浮き上がらせないようにして
 沸騰寸前サッと掬(すく)いとる。
 それから削った言葉を入れる。
 言葉が鍋のなかで躍りだし、
 言葉のアクがぶくぶく浮いてきたら
 掬ってすくって捨てる。
 鍋が言葉もろともワッと湧き上がってきたら
 火を止めて、あとは
 黙って言葉を漉(こ)しとるのだ。
 言葉の澄んだ奥行きだけがのこるだろう。
 それが言葉の一番ダシだ。
 言葉の本当の味だ。
 だが、まちがえてはいけない。
 他人の言葉はダシにはつかえない。
 いつでも自分の言葉をつかわねばならない。

 

かつおぶしを透明になるまで薄く削り出し、沸騰したお湯に

入れて煮出し、アクをすくい取って濾し取る。そうして澄んだ

言葉の一番ダシが取れる。旨味のある美味しいダシが取れた時、

初めて、書き手が言いたかった真っ直ぐな想いが読み手に伝わる。

 

とてもユニークな発想の、分かりやすい詩ですね。思いつくままに

言葉を書き出して、吟味しながら消去法で言葉を削いでいけば、

本当に伝えたい核心部分が現れてくるということでしょうか。

美辞麗句でなくて良い。そう! ブログにも、もっと丁寧に、

一番ダシのよく効いた言葉を選んでいかないと…ね (~_~;)

 

※写真は古里の郷土料理「おくずかけ」。家族が大勢集まると、

 さらに追加の鍋の登場も。。。(^o^;)