シャロンの薔薇

聖書から学んだこと・日々の出来事・ハンドメイド

『ハリール・ジブラーンの詩』を読み返して

 

 思いがけず、友人から2023年の皇族カレンダーを戴きました。

なかなか手に入るものでもないので、ありがたく頂戴し、さっそく

デスクの上の書棚に‥。皇族の方々の凛とした佇まい、姿勢の美しさに、

自ずと身が引き締まります(*^^*)

 

 カレンダーを見て、と言うか上皇后美智子さまの醸し出すオーラ、

奥ゆかしさに心惹かれ、ふと一冊の本のことを思い出しました。

神谷美恵子訳『ハリール・ジブラーンの詩』(角川文庫)という詩集を

ご存知でしょうか。レバノン出身のハリール・ジブラーン著『預言者

から、何編かを抜粋した訳詩集です。

 

 ジブラーンはレバノン出身の詩人として活躍した人ですが、その作品は

世界30ヶ国語に翻訳され、特にアメリカでは聖書に次ぐベストセラーに

なったほど。日本では、ほとんど知られていないのが不思議ですね。

 

 かくいう私も20年ほど前、たまたま新聞の読書欄で、初めてこの詩人と

著書『預言者』の存在を知りました。人間の普遍的なテーマである愛、

結婚、自由、子供、友情、苦しみ、宗教、労働、時、別れ、死など‥

について、問答形式で語られていきます。壮大なスケールで、また十分に

吟味された、魂の琴線に触れる優美なことばで編まれた散文詩。この詩を

知らないのは本当にもったいない!もっと多くの人の心に届いてほしい。

そんな一冊です。

 

 では皇室カレンダーから何を連想したかと言うと、実は詩集『預言者

神谷美恵子さんに紹介したのは、当時皇太子妃であった美智子さまだと

言われています。美智子さまレバノン大統領から贈られたこの本を

愛読され、相談役だった神谷さんに紹介したことが、後々『ハリール・

ジブラーンの詩』の執筆のきっかけになったのだとか。美智子さま

類まれなる審美眼に、深く感じ入ります。

 

 ジブラーンという詩人と、翻訳者の神谷美恵子さんの呼吸が、まさに

シンクロし、その行間から伝わってくる魂のほとばしり‥。このような

素晴らしい作品に出会えたことに、あらためて感謝しています。

 

そうそう、ずいぶん前になりますが、次男が結婚する時、ジブラーンの

「結婚について」という詩を色紙に書いて贈りました。今も夫婦の指標に

なっているなら嬉しいのですが(*^^*) 

 

     結婚について  


結婚についてお話しをどうぞ、とアルタミラが言うと彼は答えて言った。
あなたがたは共に生まれ、永遠に共にある。
死の白い翼が二人の日々を散らすときも
その時もなお共にある。
そう、神の沈黙の記憶の中で共にあるのだ。
でも共にありながら、互いに隙間をおき、
二人の間に天の風を踊らせておきなさい。


愛し合いなさい、
しかし愛をもって縛る絆とせず、
ふたりの魂の岸辺の間に
揺れ動く海としなさい。
杯を満たし合いなさい。
しかし一つの杯から飲まないように。

ともに歌い踊りよろこびなさい。
しかしそれぞれひとりであるように。
リュートの弦が同じ音楽でふるえても
それぞれ別のものであるにも似て。
自分の心を(相手に)与えなさい。
しかし互いにそれを自分のものにしてはいけない。
なぜなら心を包みこめるのは生命の手だけだから。
互いにあまり近く立たないように。
なぜなら寺院の柱は離れて立っており
樫や糸杉は互いの影にあっては育たないから。

 

 夫婦とは、互いに「尊敬」と「感謝」という両輪で完走をめざす、

長い人生レースの走者とも言えるでしょう。ゴールに辿り着くには

心を一つにする必要がありますが、この詩には夫婦が依存し過ぎない

ようにと教示する、幾つものフレーズが盛り込まれています。互いの

存在を尊重しながらも、それぞれが自立した心を持って、神さまを

頂点とする二等辺三角形を保ちながらゴールへ向かう共同生活ですね。

 

 皇族カレンダーからジブラーンの詩へ。話は飛びましたが、あらためて

この詩を読み返したことで、結婚についての深い奥義を知ることができ

ました。私たち夫婦も今秋、金婚式を迎えます。夫婦の関係を、見つめ

直すきっかけにしたいものです。