3月16日の深夜、福島県沖を震源とする震度6強の地震が発生しました。
奇しくも11年前の3.11と同じ時期。悪夢再びかと、誰もが強い緊張に
包まれたことでしょう。
宮城県にある実家はタワーマンションの最上階、32階にあります。
停電でエレベーターが停止すれば、昇り降りに一苦労です。少し
離れた場所で店を営んでいるのですが、床には陳列棚から落下した
商品の山・山・山‥。兄嫁は32階までの昇降と店の片付けで、
疲労困憊の様子でしたが、電話での嘆き節の中に、ああ、過去の
経験が生かされている‥と感じられたのが僅かな救いでした。
少なからず被害はあったものの、実家は立て直し可能のケース
と言えます。もっともっと甚大な被害に遭い、先の見通しが
立たない多くの方々の痛み苦しみは、どれほどのものでしょう。
コロナ禍に、追い打ちをかけるような試練。そんな逆境の中に
あっても、心を強く保って、空を仰ぎ、前を見据えて、新たな
一歩を踏みだすことができますように‥。
サトウハチロウに師事した若谷和子さんという女流詩人の詩。
試練のさなかに歌った詩集「母ときた道」から、「はなみずき」
という詩を紹介します。
はなみずき
はなみずきの つぼみが
何千本もの 編棒になって
ツクン ツクン
凍てついた
時の目をひろっています
北風 雪
霙(みぞれ) あるいは
冷たさの底の
星の銀(しろがね)
耐えて耐えて
やがて
この編棒からうまれる
やわらかな
ももいろの春のあたたかさを
そのはなあかりを 思うと
胸が
ほっとほぐれます
――――――――――――――――――――――――
絶対絶命のその時、光を仰ぐ人がいる。
闇へ落ちる人がいる。
祈ろう。苦難の中にいる人のために。
若谷和子著「母ときた道」(いのちのことば社)
私も祈ります。
疫病、自然災害、戦争‥に苦しむ方々のために。