シャロンの薔薇

聖書から学んだこと・日々の出来事・ハンドメイド

12月~ 忙しさとひきかえに

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ふり返る いとまもないほどコロナ一色だった2020年。

せわしなさは同じでも、いつもとは違う12月を過ごしている

方は多いのではないでしょうか。

 

詩人 茨木のり子さんの詩から―。

 

   「十二月のうた」   

  熊はもう眠りました

 栗鼠(りす)も うつらうつら

 土も樹木も

 大きな休息に入りました

 

 ふっと

 思い出したように

 声のない 子守唄

 それは粉雪 ぼたん雪

 

 師も走る

 などと言って

 人間だけが息つくひまなく

 動きまわり

 

 忙しさとひきかえに

 大切なものを

 ぽとぽとと 落としてゆきます

 

茨木のり子さんの詩。今年はまた、別の味わいをもって

私の心に響いて来ます。

 

律儀な日本人は、“今年のことは、今年のうちに”という思いが

強く働いて、忙しさに拍車がかかるのかもしれません。

忙しいは「心を亡くす」と書きますから、本当に大切なことが

後回しにされることへの注意、あるいはもう一歩踏み込んだ

警告、イエローカードを提示するメッセージに読み取れます。

 

しかし、今年の12月は老弱男女とも、暗黙の自粛生活を余儀なく

され、手帳の予定表に空きが目立つ人は多いでしょう。

だから例年通り忙しいという人は稀だと思います。不本意にも、

空けざるを得なくなった時間を生かして、非常事態の時には

どう考え、行動するかを冷静に判断することが、最優先すべき

大切なことですよと。今の憂慮すべき状況を考えて、いっそう

気を引き締めなさいとの、重要なメッセージにも思えてきます。

 

師走は忙しいという固定概念をちょっと横に置き、この否応なしに

与えられた想定外の“ゆとり時間”を有効に用いて、今まで

気づかずに、ぽとぽと落としてしまっていた大切なものを、

一つずつ拾い集められたら、少し救われた気持ちが湧いて

くるのではないでしょうか。