夫が丹精込めて育てている椿の花が咲きました。
自分の美しさなど知るべくもなく、時が満ちて、ただひとすじに
花を咲かせるさまに、崇高なものを見る思いがします。
我が家の椿、知識不足のため詳しい品種や名前は分かりません。
一重で小さめ、半開きで紅色ということから侘助(わびすけ)という
種類かもしれない‥。そんなレベルの知識で決めつけてくれるなと、
椿の内なる声が聞こえて来そうですが。
ポトンと首が落ちることから、縁起が悪いと嫌われることもある
椿の花。しかし、きりりとした姿形の美しさは万人の目を惹きつける
力があります。お茶席での生花用に人気があるのも頷けます。
ここに2002年の消印がある一枚の年賀状があります。すでに故人と
なられましたが、俳句を添えた墨絵を描いてくださった方がいます。
侘助(わびすけ)に 午後の陽ざしの すぐ翳(かげ)る
その方は、短期間でしたが同じサークルで可愛がっていただいた、
大好きな絵の先輩でした。高貴なイメージのある椿が「わびすけ?」
と、その愛嬌ある名前が、しっかり頭に刻まれたのを覚えています。
また我が家には、宮城に住む叔母が新聞紙で丁寧にくるみ、宅急便で
送ってくれた西王母(せいおうぼ)という椿もあります。中国の道教に
由来するとのことですが、西王母とは不老長寿の桃を持つ最高位の
女仙(女神)のこと。ふっくらした蕾が桃に似ていることから、
その名がついたのだとか。一口で椿と言えど、いろいろな呼び名が
あるのは興味深いですね。
10歳になる孫が図鑑を丸暗記するほど植物が好きなので、いっしょに
花の呼び名を調べる楽しみができました。いや、孫の脳内には、
すでに幾つもの呼び名が刷り込み済みかも‥。