矢沢 宰(やざわ・おさむ 1944-1966)という詩人を知ったのは、
割と最近のことです。ちょっと八木重吉に似た、平易で素朴な
ことばで紡いだ詩。心の琴線にふれる優しい詩の世界です。
たまたま、ネット検索をしていて矢沢宰(おさむ)さんの記事が
目に留まりました。7歳で腎結核を患い、21歳にその生涯を
閉じるまで、死と向き合いながら、透明な叙情を湛(たた)える
とも位置づけられていると知って、私の第一印象も、まあまあ、
当たりだったのかもしれませんね。
「詩の散歩」
コロコロと
桃色の玉や
紫の玉や
緑の玉やを
上手に使い分け
詩が朝の散歩に
行きました
「入道雲」
大男になって
またいだり
よじ登ったり
いっきに かけおりたりして
ふるさとへ帰りたい
生涯のほとんどの日々を病床で送っても尚、端々に弾ける
いのちのほとばしりに、人間の凄みのようなものを感じます。
行間に、いのちの尊さが幾重にも綴られているようで‥。
「詩の散歩」を読んでいたら、ふとイメージが湧いてきて、
こんなものを作ってみる気になりました。
コロコロと、いろんな色の玉が、詩の調べに乗せられ散歩に
躍り出る‥。
和紙の切れ端を、穴あけパンチでパチン、パチン。
ぶどうの房ができました。
実はこれ、教会の週報の表紙(上の写真がオリジナル版)
を模したもの。20数年前、私がデザインしたこともあって、
思い入れのある図案なのです。矢沢さんの詩の、弾む心の
散歩を絵にしたら、こんな感じなのかなと。
うだるような真夏の昼下がり、こんな酔狂な一人り遊びも
悪くないかも‥。せっかく作ったので、超・超ポチ袋に仕立て
ました。マツバボタンの種でも入れて、誰かにプレゼント
しようかな。