シャロンの薔薇

聖書から学んだこと・日々の出来事・ハンドメイド

花物語を写す

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私にとって五月という月は、母を思い出す特別の月です。
五月一日の誕生日を病院のベッドで迎えた母でしたが、
その八日後の五月九日、眠るように天に召されました。
もう、九年前のことになります。

母の名前は藤の花にちなんで付けられたとか。
そんなこともあってか藤色が特にお気に入りの母でした。
入学式や卒業式に、藤色の着物を着て列席してくれた母の姿が
今も脳裏に鮮やかによみがえります。

年齢は重ねても、母にはいつも少女のような一面がありました。
晩年は、おそらく指先のリハビリのためにと考えたのでしょうか。
吉屋信子少女小説花物語』を、一字一句、それは丁寧に、
大学ノートに書き写していたものです。
几帳面な字で綴られた大学ノートは、大切な母の遺品となりました。

母が召された年、藤の苗を買ってきて植えました。
毎年は、なかなか花を咲かせてはくれない気まぐれなところも
ちょっと母に似ている藤の花。
今年は御機嫌うるわしく、そよ吹く風に枝垂れて咲き誇っています。
母と過ごした日々を回顧する、佳き季節となりました。