シャロンの薔薇

聖書から学んだこと・日々の出来事・ハンドメイド

星野富弘さんが教えてくれたこと

 

 

 4月28日、花の詩画集で知られる星野富弘さんが、入院先の

病院で呼吸不全のため、78歳で天に召されました。星野さんは

中学の体育教師だった20代半ば、部活動の指導中に頸髄を損傷し、

首から下の機能を失いました。

 闘病中にキリスト教信仰に導かれた星野さんは、ベッドの横に

飾られる花の絵を描き始めました。最初はお母さんと、その後は

奥さんと二人三脚で、たくさんの詩画集が発表されたのは周知の事。

愛と優しさに満ちた星野さんの詩画に、どれだけ多くの人が生きる力を

もらったことでしょう。星野さんのユーモアに救われ、人生の向きを

180度変えた人が、いったい何人いることでしょうか。

 

 私も星野さんの著書を読んで人生の方向転換をした一人です。

絶望するような状況の中にあっても揺るがない心の静けさ、希望の灯。

そして、思わずクスッと笑みをもたらすユーモア。

 「ユーモアとは、にも関わらず笑うこと」

そういう生き方が人にはできるのだということを、星野さんは教えて

くれました。

 すでにご存じの方も多いと思いますが、より多くの方に星野さんの

詩画集やエッセイを知ってほしい‥ そんな思いを込めて、いくつかの

詩を選んでみました。皆さんの心の中に星野さんの愛のメッセージが

届くことを祈りつつ‥。

 

  

  

  トンボよ

  それは 足の指だよ

  でも そこでも良いのなら

  動かないから

  安心して

  休んでいけよ

        (とんぼ・『速さのちがう時計』より)

 

  造られたもので

  目的のないものはないという

  価値のないものも

  ないという

  動かない指を見ながら

  今日は  そのことを思っていた

          (指/みぞそば・『あなたの手のひら』より)

 

  旅行です 晴れにしてください

  田植えです 雨をお願いします

  日本中から願いごとで

  神さまも困った

 

  それで

  

  半分ずつかなえてあげましょう

  というのでしょうか

   今日は曇り

         (曇り空/ウツギ・『あなたの手のひら』より)

 

  痛みを感じるのは

  生きているから

  悩みがあるのは

  生きているから

  傷つくのは

  生きているから

  私は今 かなり生きているぞ

     (生きているから/イチャクソウ・『花よりも小さく』より)

 

    貧乏くじ

   引いてみると いいですよ

   私は すごいのを

   当てたことがあります

 

   希望とか 愛とか どこにでもありそうですが

   本物はなかなか

   手に入らない

   ものが当たるんです

 

    貧乏くじ

   外れはないそうです

   引いてみると いいですよ

      (貧乏くじ/ウメバチソウ・『種まきもせず』より)

 

   冬があり 夏があり

   昼と夜があり

   晴れた日と

   雨の日があって

   一つの花が咲くように

   悲しみも 苦しみもあって

   私が私になってゆく

     (悲しみの意味/サフラン・『花よりも小さく』より)

 

   あの人のように

   なりたくて あの人の

   後を追っていたら

   あの人の前に

   キリストがいた

      (あの人のように/塩狩峠に咲いていた野菊

        三浦綾子記念文学館にて『種まきもせず』より)

 

 最後の一編は私にも重なります。星野さんの境地を知りたくなって、

後を追っていたら、星野さんの前にキリストがいた‥。まさに私が

クリスチャンになる道標となってくれた星野さん。ありがとう‥。

どうぞ天国で安らかにお休みください‥。