花に教えられること
すかしゆり 星野 富弘
ブラインドのすき間からさし込む
朝の光の中で
二つ目のつぼみが 六つに割れた
静かに反り返ってゆく花びらの
神秘な光景を見ていたら
この花を描いてやろう などと
思っていたことを
高慢に感じた
「花に描かせてもらおう」
と思った
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星野富弘さんの詩の表題は「すかしゆり」。
写真の花は真紅の薔薇。
花の種類は違うけれども、花は自分の美しさすらも知らず、
ただ与えられた使命を全うするごとくに、身を装います。
その謙遜、従順、凛とした気高さを、私たちは花から教えられます。
この写真は、初夏の日差しの中、近くのバラ苑で写したものですが、
幾重にも重なり合う花弁の豪華さ、緻密さ、完璧さは息を呑むばかり。
私も星野さんと同じように、
「花を撮ろう」と思ったことが恥ずかしくなり、
「花に撮らせてもらおう」という気持ちになって、シャッターを切りました。