以前、教会の敬老礼拝の説教の中で、「最上のわざ」という詩が
紹介されたことがあり、その時の心境をブログに綴ったことがあり
ました。年齢を重ね、さらに詩の内容が理解できるようになった今、
改めて詩を読み返してみたいと思います。
「最上のわざ」は第2代上智大学 学長を務められたヘルマン・
ホイヴェルス神父が、著書『人生の秋に』の中で紹介している詩です。
母国ドイツに帰郷の折、友人から贈られた詩(作者不明)と言われて
います。
最上のわざ
この世の最上のわざは何?
楽しい心で年をとり、働きたいけれど休み、
しゃべりたいけれども黙り、
失望しそうなときに希望し、
従順に、平静に、おのれの十字架をになう。
若者が元気いっぱいで神の道を歩むのを見ても、ねたまず、
人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり、
弱って、もはや人のために役だたずとも、親切で柔和であること。
老いの重荷は神の賜物、
古びた心に、これで最後のみがきをかける。
まことのふるさとへ行くために。
おのれをこの世につなぐ くさりを
少しずつはずしていくのは、真にえらい仕事。
こうして何もできなくなれば、
それを謙虚に承諾するのだ。
神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。
それは祈りだ。
手は何もできない。
けれども最後まで合掌できる。
愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために。
すべてをなし終えたら、臨終の床に神の声をきくだろう。
『来よ、わが友、われなんじを見捨てじ』と。
人に迷惑をかけたくない、誰かの世話になりたくない、できるだけ
環境を変えたくない。そう思うのも人の常かもしれません。でも人には
必ず限界が訪れます。自分だけでは解決できないという事実を自覚
したなら、神さまに、そして手を差し伸べてくれる人に素直に助けを
求めて良いのだと、詩人は諭します。
老いは迎え撃つのではなく、受け入れ、神さまに委ねて生きる。
この詩には、人生の幕を下ろそうとしている人々への、慈愛に満ちた
慰めのことばが散りばめられ、大きな励ましが込められています。
年老いて 白髪頭になったとしても
神よ 私を捨てないでください。
私はなおも告げ知らせます。あなたの力を世に。
あなたの大能のみわざを 後に来るすべての者に。