絵画教室では、きれいな花や特徴あるオブジェをモチーフに
描くことが多いのですが、時間がたっぷりあるコロナ禍中の今、
あえて、平凡な “じゃがいも” を描いてみました。
手を変え、姿を変え、味つけされて食卓に登場する常備菜。
そんな、ごくありふれた野菜ではありますが、よく見ると
一個一個、形も表情も違って面白い素材であることに
気が付きます。単純ゆえに、むしろ絵にするのは難しいのですが、
身近なものを観察して描くのも、良い勉強になります。
身近なものを素材にした、星野富弘さんの詩画集の中にも、
“じゃがいも”をモチーフにした詩画がいくつかあります。
じゃがいもの花
泥だらけになって
じゃがいもを
掘っていた時
ふと見上げた空が
手でさわれそうなほど
近かったことを憶えている
高い所にあこがれ
山の頂に
立った時
なんにもない空が
果てしなく遠かったことを
憶えている
『鈴の鳴る道』(偕成社)より
柔らかい土の感触、空を仰いだ時に感じる天の高さ。
純真無垢な子どもの頃に感じた懐かしい感覚が、
ふと、五感によみがえるようなフレーズが快いですね。
ベランダでのプランター栽培ですので僅かではありますが、
今年も大小取り混ぜ、収穫することができました。
他の食材と、あまりケンカすることのない頼りになる料理番の助っ人。
そんな “じゃがいも” が大好きです。