木の枝 星野 富弘
使いみちもなく
放り出された木の枝
しかし その陰で
寒さをしのぐ虫がいた
拾い上げて
杖にする人がいた
初夏、夏の真っ盛り、初秋、晩秋‥と、特別な目的があるわけでは
ないのですが、ずっと同じ紫陽花を追い続けています。
教会へ続く坂道に、季節を超越して、そこに存在する紫陽花の花。
みずみずしい空色の花びらは、季節の巡りと共に僅かずつ色を染め替えて、
今は褐色の固まりとなり果てています。
通る人も目を向けず、かつての美しさを愛でる人はいないけれど、
行く末を案じることもなく身を委ね、ひっそり佇んでいる姿に、
気高さと潔さを見る思いがします。
星野さんの詩にもあるように、もう役割は終わったかもしれませんが、
その陰で寒さをしのぐ小さな生き物がいるかもしれません。
チリチリに干からびてもなお、崩れ堕ちずに立ち続ける姿に、
自分を重ねて再起を誓う人がいるかもしれません。
これから霜がおり、雪が舞い散る季節が到来しますが、
この紫陽花の行く末を、もう少しだけ見届けたいと思っています。