シャロンの薔薇

聖書から学んだこと・日々の出来事・ハンドメイド

あしあと Footprint

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       あしあと Footprint   マーガレット・F・パワーズ

  ある夜、わたしは夢を見た。
  わたしは、主とともに、なぎさを歩いていた。
  暗い夜空に、これまでのわたしの人生が映し出された。
  どの光景にも、砂の上にふたりのあしあとが残されていた。
  ひとつはわたしのあしあと、もう一つは主のあしあとであった。
  
  これまでの人生の最後の光景が映し出されたとき、
  わたしは、砂の上のあしあとに目を留めた。
  そこには一つのあしあとしかなかった。
  わたしの人生でいちばんつらく、悲しい時だった。
  このことがいつもわたしの心を乱していたので、
  わたしはその悩みについて主にお尋ねした。
  
  「主よ。わたしがあなたに従うと決心したとき、
  あなたは、すべての道において、わたしとともに歩み、
  わたしと語り合ってくださると約束されました。
  それなのに、わたしの人生のいちばんつらい時、
  ひとりのあしあとしかなかったのです。
  いちばんあなたを必要としたときに、
  あなたが、なぜ、わたしを捨てられたのか、
  わたしにはわかりません。」
  主は、ささやかれた。
  
  「わたしの大切な子よ。
  わたしは、あなたを愛している。あなたを決して捨てたりはしない。
  ましてや、苦しみや試みの時に。
  あしあとがひとつだったとき、
  わたしはあなたを背負って歩いていた。」

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三年ほど前、親しくしているドイツ人女性宣教師が休暇で帰国される際に、
和食のレストランで送別の食事会を持つ機会がありました。
その日の参加メンバーは宣教師、友達、私の三人。
奇しくも、そろって同い年ということもあり、習慣や文化の違いを超える
どこか共通の思いが交叉して、楽しいひとときを過ごすことができました。

その時、宣教師さんが一つの詩と、それにまつわるエピソードを語ってくれたの
ですが、とても印象的な内容だったので、今もよく覚えています。

宣教師さんの知人が空き巣に入られました。お金になりそうなカード類を中心に
物品が盗まれていたそうです。ふと見ると、一枚のテレフォン・カードだけが
残されています。テレフォン・カードには、「あしあと」という題の詩が書いて
ありました。

なぜ、このカードだけを残したのか、その理由は分かりませんが、盗みを働くと
いう切迫した心理状況の中で、とっさにカードに書いてあった詩が目に入り、
瞬間的に良心の咎めを促す何かが働いたのでしょうと、知人は言っていたそうです。

「たしかに力ある‘ことば’は、人の心を揺さぶります。神様が、その空き巣の心の
すき間に、一瞬、介入されたのかもしれません。その人の心が神様のことばによって
変えられますように。」

宣教師さんの‘ことば’と祈りにも、私たちは大きく心を動かされました。

あらためて「あしあと」を読むと、再び大きな感動がよみがえります。